Exhibition

Proximate Horizons 近しい遠景

藤元 明 / 森 靖









いつしか、ソーシャルという謳い文句(-メディア、-ディスタンス)は我々とモノの距離を考えさせるものに変容していた。現物鑑賞が重んじられてきた美術界においても、画面越しに美術作品の有り様をイメージする想像力が一種のリテラシーとして求められるようになり、昨今のソーシャル(=社会的)な距離の単一化は皮肉にもそれぞれの単位の限界を示すものになっている。
作家の藤元明と森靖は制作の中で意識する大きさを”単位”と呼ぶ。彼らのいう単位とは、単なる規模の尺を指すのではなく、スケールとディテールの関係性、ひいては、鑑賞者と作品の間に生じるシームレスな距離感をも包括するものとして、作品を取り巻く空気までを定義する。鑑賞体験そのものに依存する単位の表現は、結果として全体と一部の入子構造を鑑賞にもたらす。
本展は、2ヶ月近くにわたって同じ場で作品制作を行ってきた二人の異なる作家の、それぞれのスケールとディテールが両方向に漸近する極限(=遠景)を一つの成果としてみなし、その地平面を二人展という形で浮かび上がらせようとする試みである。本展を通し、「ソノ アイダ#新有楽町」が現代社会において取り組む、単一化のできない美術実践の幅を感じてもらえることが、本スペースのこけら落としとしての願いである。
丹原健翔


概要
会期:2022年1月27日(金)- 2022年1月30日(日)
営業時間: 13:00-20:00
会場:ソノ アイダ #新有楽町
住所:東京都千代田区有楽町 1-12-1 新有楽町ビル1階 北側112区画
キュレーション:丹原健翔(アマトリウム株式会社)
主催:株式会社アトム(A-TOM Co., LTD.)
企画:ソノ アイダ実行委員会
協力:三菱地所
機材協力:BLACK+DECKER / DEWALT / LENOX / IRWIN

藤元 明 AKIRA FUJIMOTO
1975年東京生まれ。東京藝術大学美術学部大学院デザイン専攻修了。FABRICA(イタリア)に在籍後、東京藝術大学先端芸術表現科助手を経てアーティストとして国内外で活動。社会現象や環境問題をモチーフとして、様々なメディアで作品展示やアートプロジェクトを展開。主な活動に「NEW RECYCLE®」「2021」、原爆や戦争など社会的喪失の記憶をテーマにした国際プロジェクト「FUTURE MEMORY」など。主な展覧会に「ソノ アイダ#COVID-19」「TOKYO 2021」「陸の海ごみ」「海ごみのあと」。2015年より都市の余白を活用する「ソノ アイダ」を主宰。
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Photo by Daisuke Omori
森 靖 OSAMU MORI
1983年愛知県岡崎市生まれ。東京藝術大学大学院彫刻専攻を修了。 2010年山本現代で初個展「Can’t Help Falling in Love」を開催。 横浜トリエンナーレ「OUR MAGIC HOUR ー世界は どこまで知ることができるか?ー」に出展。 その後、一つの巨大な彫刻作品の制作に取り掛かり、10年ぶりとなる個展「Ba de ya」で発表。 素材のもつ力を最大限に活かしながら彫刻造形の限界に挑み続ける。
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丹原健翔 KENSHO TAMBARA
キュレーター、作家。ハーバード大学美術史卒業後、帰国し展覧会企画やアーティストマネジメントに携わる。アートスペース新大久保UGO立ち上げ。主な展覧会に、森山大道展(19年、kudan house)、未来と芸術展(19年、森美術館、作家として)、ENCOUNTERS(20年、ANB Tokyo)、Dream Play Sequence (21年、富山県美術館内レストラン「BiBiBi&JURURi」)など。

©️2015 ソノ アイダ