藤元 明  2021


2020のようなワンシンボルに向かって行進をするのが大好きな日本、そして東京。他方で、斜に構え眺めている 殆どの日本人は、知らないうちにいつも巻き込まれている。2020年の幻の1ヶ月間のために、莫大な投資を元 にあらゆる業界で経済効果を期待される東京オリンピック・パラリンピック。戦後高度成長の象徴としての1964 年東京オリンピックと同じコンセプトでは出来ない、成熟した東京は近代都市の有り様を示して欲しい。「2021」は2020年東京オリンピックの「その先を考える」ことを象徴化し、展開していく作品である。今回は1st stepとして

「2021」という記号の伝播を目的とした東京への路上設置パフォーマンスとその情報化。そして次は個人のアー トの枠を超え、賛同する新しい仲間とアイデアが集まることを期待する。設置可能な場所は常に募集中である。


藤崎 了一 CRASH ADDICT


一つの行為を固執し続ける事でいつのまにか作り上げられていく作品シリーズ「ADDICT」。CRASH ADDICTは「破壊する行為」をモチーフとしてその美しさを執拗に追及する作品。破壊衝動やバンダリズム的な感情はなく、淡々と制作している時のような音のリズムを刻んでいく。ソノアイダ#4では今までのギャラリーなどの室 内環境から街へとその行為を持出す実験となる。記録される映像背景には全く関係ない人々や街の喧騒が映 し出されている。オープニングイベントでは過去最大量のオブジェクトを破壊するライブパフォーマンスが行 われ、観客は飛散する破片を避けるために傘をさして観覧した。また後日床に散らばったままの破片をドローイングをするかのように壁に固定し作品とした。

松下 徹 Untitled


今回の街に飛び出す行為は、かつてのダダイズムや〜〜が美術の既存の枠組みを壊すために外に飛び出していった行為をなぞっているわけではない。何してもアートだと認められてしまう世の中になってしまった現在にもかかわらず、スタジオで制作した作品がギャラリー・美術館に向かってしまう。日常生活と地続きに繋がっている空間の中へ、そしてグラフィティの壁に対するルール・フォーマットとは違う考え方で、アーティストが 街へ出て自らの価値観を浮かび上がらせることに面白さと可能性を感じている。そして街の情景の中に浮かび上がる作品は、不特定多数の人々に写真を撮られることを前提に作っていて、情報として媒体化され、拡散していくことが今回の狙いでもある。

©️2015 ソノ アイダ