藤崎 了一 ADDICT
一つの行為を固執し続ける事で作り上げられていく作品シリーズ「ADDICT」。ソノ アイダ #1の展示環
境を活かし、展示前に展示空間でモノを破壊し続ける映像を作品として展示。合わせて破壊されたモノ
たちで組上げられたオブジェクトの塊は一切の接合無く藤崎の感覚で2m の高さまで到達した。無感情
に壊し続ける藤崎の表情のプロジェクションとともにその様子が床置きのモニタに淡々と映し出される。
更にその画面の上に iphone を複数台乗せて破壊する映像を重ねる。十数個の再生映像から流れる破壊
音の重層が期せず特徴となり「音楽のよう」と形容されたりもした。ギャラリーからもれるその音を聴
いた佐藤礼央氏から作曲の申し出があり、ライブインスタレーションとしてパフォーマンスも行われた。
相澤 安嗣志 EFFECT
錆という酸化現象をモチーフに作品を展開し続ける相澤。完全に静止した様に見える作品と空間、しか
し錆の進行は常に進み続ける。彼は錆させるという人的行為をもって作品を描いているが、本意であっ
たかは別として彼のコンセプト通り、展示期間中にも作品は目に見えて変化し、搬出時には大事に育て
ていた錆はボロボロに崩れ落ちたりと制御の範疇を超えていく。コンクリート床に落ちた錆の汁も床で
成長し、展示期間が終わった後も床の錆は成長を続け我々をヒヤヒヤさせた。空間の中心に照明用の柱
を立て表サイドの壁を照らし、奥には屋根のついた展示壁を追加、風雨になんとなく晒される大判の錆
の作品は空間構成要素としても機能していた。
藤元 明
NEW RECYCLE® SYMBOL
藤元が 2010 年より続けているシリーズ「NEW RECYCLE MARK」。固定化されていると思われがちなシ
ンボルマークも時代と共に変容すべきであり、それを考え続けるというコンセプト。2014 年、パブリッ
クドメインであり、世界中で乱用される RECYCLE という言葉のカウンターとして「NEW RECYCLE」を
商標登録(標準文字)。個人所有とする事で新しいリサイクル概念の再考を社会へ促す試み。ネオンサ
インとともに商標登録証を展示。石油エネルギーの象徴である黒い雫型を白い壁に浮上がらせる LED 作
品。空間は作品の発光のみを光源とし、アスファルトで覆われた絵画は光を反射させる鏡として配置、
視点の移動によって様々な表情を映し出していた。ISLAND MEDIUM Gallery と同時開催の個展であった。
トクヤマ ムネタカ
01
コマーシャルフォトグラファーとして世界を舞台に活動し、様々な受賞歴を持つトクヤマ。自身も写真
展に対し懐疑的な立場であったが、ソノ アイダのコンセプトと写真展らしく無い展示をやってみたいと
いう想いがが合致し展示へと至った。スタジオのある NY で休日に撮り続けていたストリートスナップ
から5枚を抜粋。常識を超えるサイズで写真をプリント、無造作に床置きする展示方法はモチーフとな
る人間の躍動感をよりフィジカルに撮影するトクヤマのスタイルに同期している。コマーシャルの世界
で活躍する彼の展示には 500 人を超える来場者が訪れた。平均台を模したベンチの設置や、¥2,000 でポ
スターを販売するなど様々なアイデアが盛込まれた。
川久保 ジョイ Fifteen thousand and seven hundred suns
「展示空間全ての壁面(白い場所)と中央のキャンバスに 50mm ピッチでマッチを並べると丁度 15700
本になります」という彼の計算には並べるための時間は加味されていない。15700 という数字は地球上
に残っている核弾頭の数で、太陽光を鏡の反射で室内へと取込み、虫眼鏡で集光してひとつひとつ燃やす、
というよく考えられたプログラムであると思った。展示までに到底間に合わない、全ての作業をオープ
ンスタジオとして、協力者を募集していこうと設定。それでも展示期間中に並べたマッチは 1/3 程。誤
算は晴天に依存する照射プロセスで、梅雨時期であったこと。最期の2日しか晴れなかったが、燃やせ
た時の興奮は格別のものであった。最終的に 30 本ほど燃やすことが出来たし、またの機会で続けてい
きたいと川久保。核弾頭を減らすことは容易ではないことを証明した。